2019年08月20日

苦参のこと -続 薬湯のお話- 

苦参(クララ)のこと -続 薬湯のお話- 

以前に掲載しました弊社特製の薬湯のお話ですが、
多くの方にご覧いただけたようで、嬉しく思っております。

先回の薬湯のお話では“11種類の生薬”をそれぞれ簡単にご紹介させていただきました。
11種類はすべて厳選した生薬であり、それぞれたしかな薬効をもっています。

今回は苦参(和名:クララ)についてより深くご紹介させていただきます。
この苦参、一般的な漢方の入浴剤には配合されていることが少なく、弊社の入浴剤を特徴づける生薬の一つです。

 

 「苦参」って何? その由来

基原植物をマメ科クララ(Sophora flavescens Aiton) とする 生薬名「苦参(クジン)」ですが、
薬用部位の「根」がこちらも生薬の「人参(ニンジン)」に似ている事と苦味を有する事に由来した「苦い人参」から「苦参」という名になりました。

 

同じマメ科で、同じく根を用いる「甘草(カンゾウ)」は甘味の強い生薬ですが、
この苦参は本当に苦味の強い生薬です。和名のクララは眩草(クララグサ)からきており、
根の汁をなめると非常に苦いためにくらくらする、根を噛むとめまいがするほど苦い、などといったことから名付けられました。

蛆殺(ウジコロシ/ゴウジコロシ)、蠅取草(ハエトリグサ)などという別名も持っており、
こちらは害虫を駆除するというその用途から来ています。

また、マメ科の植物で種子の入った豆果をつける事から狐虹豆(キツネノササゲ)と呼ばれることもあるようです。
「苦参」は後漢時代(西暦25年~220年)には原型が成立していたとされる中国最古の薬物書『神農本草経』の中品に収載されています。

 

クララは日当たりのよい草原地帯に自生する多年生植物で、
東アジアにて広く分布していますが、日本では草原環境が減少しているため、クララの自生地も減って来ています。

 

高さ1メートルほどに成長し、楕円形のたくさんの小さい葉を持ち、
初夏には多数の薄黄色の花を茎の先につけます(総状花序)。
根は塊根です。
(このクララの花は絶滅危惧種の「オオルリシジミ」の幼虫の唯一の食草(花部)であり、
クララの自生地である草地の減少がオオルリシジミの激減に繋がっています。)

 

秋になり、地上部が枯れ始めたら、根を掘りおこします。
薬用として用いる場合はひげ根を取り除いた主根をそのままか、周皮を取り除いて刻んで天日乾燥させます。

この状態のものが生薬「苦参」です。

 

「苦参(クララ)」の効能

煎じて服用する場合には、苦味健胃、強壮、消炎、利尿といった薬効や皮膚のかゆみを抑える効能があります。

一般用漢方処方294処方の中で、三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)や消風散(しょうふうさん)、苦参湯(くじんとう)など5つの処方に配合されています。
外用薬としては濃い目に煎じた液を水虫、汗疹、慢性湿疹、疥癬(かいせん)といった皮膚の病に用いてきました。

苦参の持つこの外側からも皮膚病を改善するという薬効により、
苦参を配合した弊社の薬湯は『アトピー性皮膚炎や水虫などの皮膚の悩みにも効果を発揮する』という他の入浴剤にはあまり見られない特長を有しております。

 

苦参は全草にマトリン(matrine)やオキシマトリン(oxymatrine)などのアルカロイド(植物塩基)を含みます。
このアルカロイド-苦味成分がストレス性潰瘍に効果を発揮することが研究によって判明しています。
(弊社顧問の山原條二医学博士が「生薬の生物活性成分に関する研究-1-生薬の抗潰瘍作用」『生薬学雑誌』28,(1974)に記されておられます。)

このようにしっかりした薬理作用をもつ生薬ですので、服用時は専門家にご相談ください。
弊社特製のくすり湯は、弊社の薬剤師が監修しておりますので、安心して入浴剤としてお使いいただけます。
(「使用方法」および「使用上の注意」には必ず従ってください。)

 

家庭菜園、庭木を守ってくれる「クララ(苦参)」 

クララの茎葉や苦参を煎じたものは昔から農作物の害虫駆除・防除薬や牛馬などの家畜の皮膚寄生虫駆除薬として使用され、茎葉そのものも細かく刻んで畑の肥溜め等のウジ虫駆除に用いられてきました。

昔は生育場所も使用場所も生活圏内にあった、本当に身近な薬草でした。

現代においても家庭菜園や庭木の手入れで役に立つ苦参の用い方として、「ナメクジ・ヒル退治液」があります。

造り方は、
苦参 10g(刻/粉末)+木香(モッコウ)10g(刻/粉末)を消毒用アルコールか工業用アルコール1ℓに漬込みます。
冷暗所にてしばらく安置したのち、上澄みをスプレーボトルに入れてヒルやナメクジに噴霧しますとヒルやナメクジは即死します。

 

庭木の手入れという観点から付け加えますと、天然物のみを使った弊社特製の薬湯はその残り湯をしっかりと冷めてから、
庭木や鉢植えに与えてもよろしいかと思います。

 

また、入浴剤としてご使用いただいた後に不織布の袋から生薬を取り出して、
植物に与えてもよい肥料となります。

 

 

夏も終わりとなって来ましたが、まだまだ暑い日もあります。

夏バテかな?

という方は苦参をはじめとし、様々な生薬の力にあふれる弊社の薬湯にゆっくり浸かって、リフレッシュされるのはいかがでしょう。

そして、皮膚の状態が気になるという方、湿疹や痒みに悩まされているという方、是非一度、弊社の薬湯をお試しください。

 

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