ウイルスの功罪

「ウイルスは災厄を誘発する厄の神というだけではない」

理事長/医学博士 山原 條二

地球環境の保全にウイルスが随分と役立っているというと、京都の人から「ほんまぁ?」という言葉がすぐに口を衝いて出てきます。海水 1m についていえば、2.5×108個ものウイルス粒子が海水には特に豊富に存在しています。このことはそれに対応する感染生物が海水には存在するという事を示しています。海水浴に行って、ウイルスに感染するから行かない方が良い という事は聞いたことがありません。それらはほとんど人に無害のウイルスです。特定のウイ ルスは過度に増殖すると寄生された生物が減少することで恒常性が維持されています。最近、 赤潮の発生を聞く事は少なくなりましたが、赤潮が自然と消滅するわけは赤潮の原因となるプ ランクトンにこれらのウイルスが寄生し、プランクトンが消滅する為です。この時に多量の有機物を補給し、他の生物を養うという循環のある事が最近、解明されだして来ています。

それだけではなく、ウイルスは細菌に入り込み、新しい遺伝情報を細菌に移植する事で新しい性質を生み出し、生物の進化にも貢献しています。ヒトの全遺伝子情報は 2003 年に解明されました。約 23,000 個の遺伝子の中にレトロウイルス由来の配列が 5-8%も占めているという事から人類誕生の太古の昔からウイルスに頻繁に感染していた事がわかります。ウイルスとウイルスに寄生された宿主は数億、数千万年の単位で攻防を繰り返しながら変化してきたと言えます。宿主に致命的な傷害を与える時、その宿主の中で耐えられる機能を獲得している種のみが生き残り、その遺伝子情報を持った子孫が生き延びたというのを多数回繰返して今日に至っています。

一方、災厄の方はご存知の様に世界的な混乱を誘発、不自由な毎日や感染するかもしれないという恐怖感など計り知れません。今回のコロナウイルスの特長は RNA ウイルスで、核のある細胞や DNA ウイルスに比較して、遺伝子が 100 万倍ものスピードで変異する事にあります。 このことはワクチンや医薬品の開発を大変困難なものとしています。

自然環境の中でウイルスと生物とが相互に循環しながら続いていた関係の中にヒトが侵入したり、気候の変動で従来の動物だけの生活圏の中でヒトと動物が接触する機会が増えたりと新しいウイルスとヒトが接触する事が新しいウイルスの感染症発生の発端となります。利便性を求めていく限り、今回の様な新興ウイルス、感染症の発生が急速に広がるリスクも高まるという事になります。日頃から病気が近寄らない生活習慣や食生活の実践が当たり前である生活を再度考える事が必須です。薬で病気は治りません。ヒトの持っている治癒力が全力を出せるように方向付けるのが世界中にある伝統医学の薬と言えます。「樂」の字は  楽器の形を象った象形文字です。上半分は太鼓や小鼓を象り、下半分は木、その(キョ) を表しています。 草冠と樂の形声字が「藥」(くすり)です。中国語ではいずれも yaoyueh と発音されます。

 虡とは「楽器を掛(懸)ける柱の事」

 

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